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2.解剖学的な解説

【目次】
1.コアエクササイズとの出会い
2.解剖学的な解説
3.実践コアスタビライゼーション(前編)
4.実践コアスタビライゼーション(後編)
5.コアスタビライゼーションと腰痛
6.コアスタビライゼーションとピラティス
7.腰痛緩和のためのエクササイズ
8.ソフトボールのためのコアスタビライゼーション
9.バスケットボールのためのコアスタビライゼーション
10.南カリフォルニアのトレーニング

■お断り:これは「トレーニングジャーナル」2003年10月号から10回にわたって連載された論文を著者(稲葉晃子氏)および出版社(ブックハウス・エイチディ)の許諾を得て転載するものです。



PNF --プロプリオセプション--

“PNF”という言葉を知っている人はとても多い。このPNFの“P”がコアスタビライゼーションの重要な役割の一つを担っているのである。よく知られていると思うのだが、“PNF”が何の略語なのか知っている人は意外と少なく、その理論になると更に知らない人が多い。知らないだけではなく、“PNF”はサッカー選手には必要ないと講習を受けた学生トレーナーには驚かされた。理由を聞くと、サッカー選手は基本的に上肢を使わないからだそうだ。恐らくPNFの肩のパターンについてだと思うのだが、パターンは肩関節にだけでなく、全ての関節に応用できるものであり、“PNF”の理論から考えるとこれほど重要な身体の機能は他になく、どんな運動にも不可欠なものなのである。全ての動作の源であるコアスタビライゼーションを理解するためには、まずこの“PNF”の“P”の意味について理解する必要がある。

Proprioceptive Neuromuscular Facilitation(固有受容神経筋促進)の略語が“PNF”なのだが、この最初の“P”のProprioceptiveの名詞形、Proprioception(プロプリオセプション)は背骨の安定に非常に重要な働きをする。“PNF”パターンはプロプリオセプションの働きをうまく利用したストレッチ法もしくは強化法なのである。プロプリオセプションは体中の筋肉、関節、腱の中に存在する感覚器の働きを指す。この感覚器は筋肉、腱の長さや張力を監視する役割があり、体の三次元空間の位置を脳に伝達する(Position Sense)。例えば、車を運転する時、目からの視覚情報を頼りに脳が働いて事故もなく運転できるのであるが、もし目を閉じたら、目からの視覚情報を脳は失い運転は極めて困難になる。それと同様に、歩行時に足からの筋肉の伸張度合いをプロプリオセプションが感じ、その情報が脳に伝達され、転倒することなく歩く事ができる。例え目を閉じた状態でも耳の中にある三半規管とともにプロプリオセプションは働き、歩行を可能にするのである。

プロプリオセプションは体中のどのように小さな筋肉、関節の中にも存在するので、75の関節から構成される背骨は非常に小さな体の傾きでも感知することができる。このプロプリオセプションがうまく働かなければ、背骨の三次元空間での位置は脳に伝わらず、脳は背骨の正確な位置関係を把握できず、背骨は常に不安定な状態に陥り易くなる。こうしたプロプリオセプションの働きは背骨の安定を作る重要な鍵となり、正常範囲のS字湾曲(図1)を保つもととなり得る。


図1



S字湾曲と腹筋運動

昨年の7月に私が初めてコアスタビライゼーションのセミナーに参加した時、講師がしきりに“ニュートラルポジション”という言葉を繰り返していた。このニュートラルポジションを保ったままで、様々なエキソサイズを行っていくと言う。人間は背骨にS字状の湾曲を持ち、その姿勢のまま、あらゆる動作を行っている。我々の背骨の自然な形は図1のように湾曲を持っている。これを“ニュートラルポジション”という。S字湾曲の最も重要な働きは動作中の衝撃吸収である。特に歩行、走行時における足から伝わる衝撃を頭部に到達しないように吸収し分散する役割を持っている。このS字を保つことは重要であり、そのS字を保つための運動を行う事が最重要課題となる。

しかし、私はトレーナーという仕事を始めて10年以上経ち、また、選手として種々の腹筋運動も行ってきたが、背骨のアーチを保ったまま腹筋運動を行った事も、選手に行わせた事も一度もなかった。腹筋運動を注意深く観察すると、その背骨の湾曲が日常生活にも、運動の中においても不自然な体勢であることに気付く。通常、立位ではPhoto1のように湾曲が見られる。しかし、腹筋運動を行う時、必ずと言って良いほどウエストのあたりのアーチを崩し、床に隙間なく背部を密着させて腹筋運動を行っている(Photo2)。背骨を床に密着させることによって、背骨の安定が図られるように思われるが、実際にはこの姿勢での日常動作、運動はかえって不安定になってしまう。想像してもらうと非常に不自然な姿勢で立つことになる。

それでは、どうすれば背骨を安定させたまま、且つ背骨のアーチを崩さず安全に腹筋を強化できるのであろうか。ここでコアスタビライゼーションが必要になるのである。コアスタビライゼーションにより、背骨の安定を図ってからであれば背骨のアーチを保ったまま、安全に腹筋運動ができるようになる。より実践的に体幹を鍛える事が可能になる。


photo1


photo2



基本的な解剖学とそれぞれの機能

アメリカ(University of Southern California等)での解釈では体幹を機能によって、エクストリンジックとイントリンジックに分類している。エクストリンジックは体幹を取り巻く大きな力をだす筋肉群とし、イントリンジックは背骨を直接支え、姿勢を保つ働きをもつ筋肉群としている。しかし、ここではよりわかり易く、詳細に体幹の構造、機能を捉える為に、カナダやオーストラリアでの研究による体幹を3層に分割する解釈で紹介する(図2)。

外層(Outer Layer)は皮膚の真下に位置する層で厚く大きな筋肉群からなり、大きな力をだすことができる。背部では脊柱起立筋(Erector Spinae M.)になり、腹部では外腹斜筋(External Oblique M.)と腹直筋(Rectus Abdominus M.)で構成されている。

中間層(Middle Layer)は4つの筋肉群から構成され、それぞれ背部で多裂筋(Multifidus)と腰方形筋(Quadratus Lumborum M.)、腹部に腹横筋(Transversus Abdominus M.)と内腹斜筋(Internal Oblique M.)である。

この中間層は脊柱を一体化させて円滑に、且つ効果的に安定させる重要な働きがある。以前はこの働きは背骨に付随する靭帯が行うと考えられていたが、最近の研究では中間層の筋肉群が主要なスタビライザ-であると考えられている。この中間層が人体のあらゆる動きに事前に反応し(Hodges&Richardson)、背骨を安定させているのである。

深層(Deep Layer)は25個の背骨とそれぞれの背骨の間にある椎間板、そしてそれらを一つずつ前後左右に繋ぐ靭帯、また、一つ一つの背骨に付随している小さな筋肉から構成される。

背骨は75個の関節から構成され、人体のあらゆる動き毎に2方向への動きが背骨で起こる。一つは大きな動きで、もう一つはその大きな動きと反対方向にスライドする(図3)。深層の個々の靭帯は、これらの動きに対して個々の関節で行われるローテーションと大きな屈曲を制限する働きもある。深層の椎間板と靭帯は背骨の安定化の機能を持つ。中間層の担う25個の背骨を一体化して安定させるのと違い、75個の関節の隣同士を安定させるのである。そしてもう一つに、前述したプロプリオセプションの働きであり、脊椎と背骨の関節の三次元での位置関係を脳に伝達する。小さな筋肉群もまた、位置関係、姿勢の情報をくまなく脳に伝達しているのである。





中間層―腹横筋と多裂筋の重要性

ここで二つの中間層の筋肉に着目する。一つは腹横筋でもう一つは多裂筋である。双方ともあまり馴染みがなく、1990年代まで殆どトレーニングの対象として注目されていなかった。一つの理由として双方とも力を発揮する筋肉ではなく、体を支える筋肉と解釈されてきたからだ。近年ではRichardsonやHodgesの研究により、これらの二つの筋肉に関して多くの発表があり、重要性が認識されてきている。

 腹横筋(図4)は4層ある腹筋群の中で最深部にあり、内臓に最も近い位置にある。始点は背骨から始まる腰筋膜に発し、腹部の白線を終点として体幹を一周するような形であり、筋繊維はほぼ背骨に垂直に走っている。腰痛に使用するコルセットを想像してもらうとよい。


図4

この腹横筋の働きは従来、呼吸の時に使われる筋肉や、体の姿勢を支える筋肉として認識されていた。しかし、近年の研究では上下肢を始めとする運動に対して、体幹の筋肉群の中で最も早く筋収縮を起こす筋肉だとされている。HodgesとRichardsonの研究では腹部(腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋)と背部 (脊柱起立筋、多裂筋) のそれぞれの筋肉に電極をつけ、三角筋の伸展、屈曲、外転においての筋電図を測定した。どの動きにおいても腹横筋の収縮が三角筋の収縮より先に起こり、どの体幹の筋肉群よりも先に収縮している事を発表した。これにより、上肢の動作によって崩される背骨のバランスを腹横筋が安定化させている事が判明された。この事前の筋収縮は、上肢において0.03秒前に、下肢において0.11秒前に起こると円滑に動作を行う事ができる(Hodges、1996)。ここで無造作に積み重ねた積み木を想像してもらいたい。非常に不安定であり、少しの振動でも崩れてしまう可能性がある。しかしながら、振動が起こる前に手で支えると安定し、振動が起きても崩れる事はない。腹横筋はこの手の役割と同じである。

また、コルセットを締めるような筋収縮の仕方で腹圧を高め、背骨の安定の為に重要な働きがあることも判明している(Cresswell,1989)。 よく講習会で披露するモデルなのだが、風船の周りに腰痛用のコルセットを巻いて、コルセットと風船の間に棒を挟む。コルセットの締め方が緩いと棒は不安定であるが、コルセットをきつく締めると中の風船の圧力が増し、挟まれている棒は安定する。

二つの新しい研究は、例えば、よちよち歩きの子供が歩いている途中に両手を上に挙げたりするとバランスを崩し、たちまち転倒してしまうことの説明ができる。これは手を挙げることにより、体の重心の位置が変わって25個の背骨のブロックが前方に傾いてしまうからである。一つによちよち歩きの子供は腹横筋が未発達なため、手を挙げる動作の前に腹横筋をうまく収縮できない。もう一つは腹圧を高める事ができず、背骨を安定させる事がないまま、バランスを保てず転倒することになる。

次に背部の中間層である多裂筋(図4)は、背骨に最も近いところで棘突起を挟むような形で仙骨から頚椎まで走っており、腰部で最も発達している。下層の背骨の椎体から上層部の背骨の棘突起、乳頭突起を結んでいる無数の筋肉束から構成されている。

従来の多裂筋の働きは脊柱起立筋の補助的な働きとして背骨の伸展、回旋をする筋肉として認識されていた。しかし、腰痛時に最も損傷の多いL4-L5とL5-S1の部位では、背筋群で主的役割と考えられがちである脊柱起立筋よりも多裂筋は大きく発達していることが超音波による測定で確認され、現在では腰椎を支える重要な働きをすると考えられている。多裂筋の強化はL4からS1の安定化に繋がり、多くの腰痛の緩和に役立つので、近年のリハビリではこの筋肉の活性化、強化が着目されている。

図5の腰椎多裂筋で見られるように各束毎に規則的な接続になっている。個々の背骨を接続するだけでなく、2、3上段の背骨まで筋肉が走っているため、より強固に背骨を支えている。また、直接棘突起に付随しているため、直接背骨を背部から支え、前述のS字湾曲の維持に大きく関与している事も認識されている。


図5
(Bogduk)



中間層と横隔膜、骨盤底筋

連載の初回で、“コア”とは、腹横筋、骨盤底筋、多裂筋、そして、横隔膜に囲まれた部分を指すと紹介した(Hodges&Richardson等)。これら4筋肉群が体の安定性を保つべく、主要スたビライザ-となるのである。これらの筋肉どうしの関係もまた研究されている。前述の腹横筋の収縮と同様に三角筋が収縮する0.03秒前に横隔膜も収縮し、且つ腹圧を高める事も解明されている。また、骨盤底筋を収縮させると、腹横筋の収縮も誘発するという研究も発表されている(Sapsford,1997)。 腹横筋で体幹を周囲から収縮させ、多裂筋で不安定な背骨を直接支え、そして上部の横隔膜で圧迫し、骨盤底筋で下方より圧迫する事によって、その中にある腹圧は高まる。まるで筒に底と蓋が付き、あらゆる側面から絞り込まれていくようなものである。このように4つの筋肉は連携して、適時、的確な収縮をする事により、背骨の安定に大きく寄与していることがわかる。



従来のトレーニング

以上のように、中間層の働きが靭帯の運動、動作に非常に重要なことが判明されてきている。しかしながら、従来のトレーニングではこの中間層を鍛える事はほとんど無視されており、それを意識してのトレーニングは行われていない。また、深層部のプロプリオセプションの活性化をするためのトレーニングや、75の関節を繋ぐ靭帯、小さな筋肉を強化するトレーニングも従来の運動では殆ど触れられていない。

 従来のコアのための運動とは、基本的に3層のうちの殆どは外層のみの強化なのである。前述の腹筋運動で、ウエストあたりを密着させるとS字湾曲がなくなると述べたが、これは厳密に言うと尾骨が床から離れてペルビックティルト(骨盤の後傾)が起きている。この時に必ず収縮する筋肉が腹直筋なのである。この外層の大きな力を出す筋肉が主に腹筋運動を行うたびに鍛えられるのである。背部では背筋運動で背骨を大きく反らすが、この時も多裂筋を強化する事は殆どできない。背骨を反らす時には脊柱起立筋が80%も関わっている。それに対し、多裂筋は20%ほどしか関わっていない事が実験によって算出されている(Bogduk,1992)。ここでも従来の運動では強化が難しい事がわかる。

 深層部のプロプリオセプションのトレーニングは、最近エキソサイズボールやコアボード、ストレッチポール等の普及により行われつつある。しかし、講習会では何故これらの用具を用いてトレーニングするかを知らない人が多い。基本的にプロプリオセプションのトレーニングは体を不安定な状態にして、プロプリオセプションの活性化を図るのである。理論を解釈して意識してトレーニングする事で、より高い効果を期待できる。

 ここまで述べると、コアスタビライゼーションは中間層のトレーニングを行えばよい、と勘違いされるかも知れない。しかし、実際には体幹の3層がバランスよくコーディネーションされることが大事なのである。ここで、2種類のセラバンドを用いて考えるとわかり易い。一方を黄色のセラバンド、もう一方にグレーのセラバンドを使用する。グレーのセラバンドの強さに合わせて何度も繰り返し引っ張ると、黄色のセラバンドはいつしか切れてしまう。この黄色のセラバンドが深層部、もしくは中間層の筋肉群としたら、たちまち背骨は不安定となってしまう。

従来のトレーニングだけではこの実験と似た状態になる。そこで、殆ど行われていない中間層のトレーニングを重点的に、それにプロプリオセプションのトレーニングを加えて、深層と中間層のトレーニングの割合を上げるのである。コアスタビライゼーションの最終目的は、3層をバランス良くコーディネーションし背骨を安定させ、手の先から足先まで一体化して体を使えるようにすることなのである。



次号は実戦コアスタビライゼーション(基本編)を紹介する。



Bogduk,N, Machintosh,J.W, and Pearcy, M.J. 1992. A Universal model of the lumbar back muscles in the upright position. Spine 17:897-913

Bogduk,N, and Twomey,L.T. 1997. Clinical anatomy of the lumber Spine and sacrum. 3rd ed. Edinburgh: Churchill Livingstone.

Creswell,A.G, and Thorstensson,A. 1989. The role of the abdominal musculature in the elevation of the intraabdominal pressure during specific tasks. Ergonomics 32:1237-1246

Hodges,P.W, and Richardson,C.A. 1996. Inefficient muscular stabilization of the lumbar spine associated with low back pain: a motor control evaluation of transversus abdominis. Spine 21:2640-2650.

Hodges,P.W, and Richardson,C.A.1999. Therapeutic Exercise for Spinal Segmental Stabilization in Low Back Pain. Edinburgh: Churchill Livingstone.

Jemmett, R.S. 2002. Spinal Stabilization -The New Science of Back Pain. Halifax: RMJ Fitness and Rehabilitation Consultants.

Sapsford,R, Hodges,P.W, and Richardson, C.A. 1997. Activation of the abdominal muscles is a normal response to contraction of the pelvic floor muscles. International Continence Society Conference, Japan , abstract.





【目次】
1.コアエクササイズとの出会い
2.解剖学的な解説
3.実践コアスタビライゼーション(前編)
4.実践コアスタビライゼーション(後編)
5.コアスタビライゼーションと腰痛
6.コアスタビライゼーションとピラティス
7.腰痛緩和のためのエクササイズ
8.ソフトボールのためのコアスタビライゼーション
9.バスケットボールのためのコアスタビライゼーション
10.南カリフォルニアのトレーニング

■お断り:これは「トレーニングジャーナル」2003年10月号から10回にわたって連載された論文を著者(稲葉晃子氏)および出版社(ブックハウス・エイチディ)の許諾を得て転載するものです。




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