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3.実践コアスタビライゼーション(前編)

【目次】
1.コアエクササイズとの出会い
2.解剖学的な解説
3.実践コアスタビライゼーション(前編)
4.実践コアスタビライゼーション(後編)
5.コアスタビライゼーションと腰痛
6.コアスタビライゼーションとピラティス
7.腰痛緩和のためのエクササイズ
8.ソフトボールのためのコアスタビライゼーション
9.バスケットボールのためのコアスタビライゼーション
10.南カリフォルニアのトレーニング

■お断り:これは「トレーニングジャーナル」2003年10月号から10回にわたって連載された論文を著者(稲葉晃子氏)および出版社(ブックハウス・エイチディ)の許諾を得て転載するものです。



大声トレーニング

バレーボールの名門高校出身でない私にとってユニチカバレーボールチームに入った一年目は、今思い出すと非常に興味深いトレーニングを数多く行っていた。その中のひとつに(トレーニングと言えるかどうか疑問であるが)、グラウンドから体育館の横に隣接する会社の食堂のおばさんたちに、大声でその日の昼食のメニューを聞くというものがあった。距離にして800mくらい。「今日のおかずは何ですか?」。メニューがわかるまで体育館入りは許されない。大声なんて出したことのなかった私にとって、それは3キロの早朝ランニングよりも苦手なものであった。お腹の底から声を吐き出さないと決して食堂に声は届かないのである。お陰で現在私は、ほとんどのセミナーでマイクなしで話せるほどの大声の持ち主になることができた。その当時はなんてばかげたことだと思っていたし、これがバレーボールに何の関係があるのかという気持ちで一杯だった。一昔前のトレーニングには精神鍛錬、根性ものが多いと言われているが、今になって思えば、この“大声トレーニング”は単に精神修行だけでなく、コアスタビライゼーションにも関係していたのである。大声を出すためには腹筋郡の、特に腹横筋の収縮なしでは考えられないからである。



まずは腹横筋の収縮

連載のこれまでを簡単にまとめると、手の先から足先まで一体化して使うことを目的としたコアスタビライゼーションにおいて、体幹を大きく3層に分別した時、外層のトレーニングに重点が置かれ、中間層のトレーニングは殆どゼロに近い。また深層部のトレーニングは最近エキソサイズボール等の普及により普及してきているが、それでも外層に比べ遥かにトレーニング量が少ない。背骨を安定させる中間層、深層のトレーニングが少ないために、現在の殆どのトレーニングは体幹が不安定な状態で行われている。

 現在のトレーニングで殆ど無視されている中間層は、多くの研究により非常に重要な働きがあることがわかってきている。中間層の一つである腹横筋は、上下肢の筋収縮の直前に体幹で最も早く筋収縮を起こし、背骨を安定させ、身体の重心の移動による背骨のバランスを保つ。この事は腹横筋の筋収縮により腹圧が高められ、背骨が安定化される為と判明している。

もう一つの多裂筋は腹横筋と共に収縮し、背骨に直接付随することにより背骨を背部から安定させる役割を持つ。特に腰椎では背筋郡で最も発達しており、この筋肉の活性化が腰痛緩和のリハビリには重要な要素になる。

腹横筋を収縮させることにより、“コア”と定義した横隔膜、骨盤底筋、多裂筋も同時に収縮させることができ、速やかに腹圧を高め、より効果的に背骨を安定させている。“コア”の4つの筋肉は連携し、適時的確な筋収縮により背骨を安定させている。

 以上のことより、何よりもまずゼロ状態である中間層のトレーニングから始める必要がある。その中でも、コアの4筋肉の収縮の連携の中心にある腹横筋の収縮のトレーニングが必要であろう。



腹横筋の性質

腹横筋の形態は前号で紹介したように、体幹をぐるりと巻く腰痛用のコルセットによく似ている。そして、その筋繊維はほぼ背骨に垂直に走っているのである。一般的な筋肉が収縮する時は、関節を中心に(上腕二頭筋の等張性筋収縮)、図1aに代表されるような収縮を起こす。筋肉の起始部に停止部が近づくのである。それに対して腹横筋は図1bのように円柱をぎゅっと込むような形になることに注目していただきたい。この収縮の仕方が腹横筋特有の性質と言ってよい。これまでかなりの人々に腹横筋をどのようすれば、ぎゅっと収縮させることができるかと質問してみたが、正解を出せた人は本当に少ない。多く人がPhoto1のような腹筋法を見せてくれたが、これは主に外腹斜筋と腹直筋のトレーニングになる。腹横筋は腹筋郡ではあるが、従来の腹筋運動ではトレーニングできないのである。








第一歩の腹横筋収縮方法

スポーツの世界にもしという言葉はありえないが、もし、ダイエーホークスの王貞治氏監督が現役時代に弱い腹横筋を持っていたら、私は世界一のホームラン記録樹立はありえなかったと考える。言わずと知れず、王さんの一本足打法は非常に有名である。想像してもらいたい。ピッチャーから投げられたボールを、ぐらぐらした片足立ちで構えている王さんの姿を。目の位置が少しの体のぐらつきでも変わり、例えピッチャーがストレートを投げてきても変化球となってしまう。バットに当たる確率は極めて低かったのではないだろうか。例え、当ったとしてもぐらぐらの背骨では飛距離が必要とされるホームランは難しかったであろう。この片足立ちでふらつきなく立つ事にもコアのトレーニングが必要であり、その最初の基本は腹横筋の収縮から始まるのである。

ここで最初に登場した“大声トレーニング”に戻ることにする。大声を出す時を分析すると、決して息を吸うのではなく、息を吐いていることに気付く。Photo2のように仰向けになり、両手を腹部に軽く置き、大声を出す時のように息を口から吐いてみると、腹部に乗せた両手が軽く沈んでいくことに気付くだろう。これが腹横筋の収縮の第一歩なのである。なんだ複式呼吸の事かと思われる方も多いが、この腹式呼吸を上手く出来ない人が実はとても多い。胸式呼吸での生活に慣れているためか、腹式呼吸をコントロールできない人がいるのである。


photo2

 この仰向けの姿勢で重要な事がある。図2aのように背骨のアーチを、運動中を通して保つという事である。前号で紹介したようにS字を意識し、尾骨を必ず床につけて恥骨と剣状骨(Xiphoid )を結んだ線が床に平行になるようにニュートラルポジションを作る。このアーチを保つということはS字に関係するだけでなく、腹横筋の収縮だけを腹筋群の中で孤立させて行わせるという目的がある。ペルビックテイルト(骨盤の後傾:図2b)が起こると必ず腹直筋と外腹斜筋が収縮させてしまうのである。アーチを保つということは外層の腹筋郡の収縮を避ける役割がある。

次にアーチを保つたまま、鼻から息を吸い、口から息を吐く時におへそを背骨の方に引き寄せる(Abdominal Hollowing)。両手を腸骨核(Iliac Crest)から脇腹辺りに軽く置いていると腹横筋の収縮が感じられる。この時に感覚がわかりにくい人は、きついジーンズのファスナーをあげるしぐさを行うと良い。これが腹横筋の収縮なのである。非常に簡単なことであるが、常日頃使っていない筋肉を活性化させることは、時には非常に難しいことでもある。

今までの経験から言うと、従来の腹筋運動を多用したトレーニングを積んでいる人ほど、この腹横筋だけを収縮させることは困難なようだ。まずニュートラルポジションを保ち、腹直筋の収縮の関与を取り除く事が出来ないのである。筋神経系伝達で腹筋運動の姿勢になるとペルビックテイルトを起こすという回路が脳に出来上がってしまっているようだ。この回路を断ち切るのに時間のかかる場合もある。

また、腰痛を患っている人はこの腹横筋の収縮をコントロールできない人が少なくない。特にアイソメトリックで腹横筋の収縮を維持できないのである。いったん筋を収縮した後に、再び息を鼻から吸う時に腹横筋の収縮を緩めてしまう場合が多い。(Richardoson and Hodges)

しかし、腹横筋は決して心臓などの不随意筋ではないので、脊椎に損傷のない限り自らコントロールできるはずである。この第一歩が最も単純であるが、最も習得に時間がかかる。

腹横筋の収縮を視覚でモニターできる装置(Pressure Biofeedback Unit)も米国やオーストラリアで販売されているが、手順に沿って練習を重ねる事により、殆どの人が少し時間はかかっても腹横筋の収縮は自分で感じる事が出来るようになる。





その他のコアの筋肉の収縮

横隔膜、骨盤底筋、そして多裂筋は腹横筋とともに神経的に連動し収縮すると考えられているので、腹横筋の収縮がマスターできると自動的にこれらの筋肉も収縮される。

しかしながら、実際には多裂筋は殆ど収縮不可能だと言われている。いったん何らかの原因で腰痛を起こすと、その関節に付随している多裂筋の筋萎縮は24時間後から始まる。こうして筋肉自体が細く弱くなっていく。その後、腰痛を繰り返し、最終的には筋収縮できなくなってしまう。多裂筋に関しては腰痛を起こすメカニズムの項目で詳しく紹介したい。

 骨盤底筋に関しては腹横筋の収縮から骨盤底筋の収縮を促す場合もあるが、骨盤底筋を収縮させてから腹横筋の収縮を促す場合もある。骨盤底筋を収縮する方法とは簡単に考えてもらうと、排尿、排便、排屁を止める時に使う骨盤底あたりを緊張させる事である。この方法を加える事により尚一層、蓋付き筒のような“コア”をぎゅっと底から絞り込むことが可能となり、腹圧をよりいっそう高める事ができる。また、上記の腰痛症の人に対しては、骨盤底筋の収縮から腹横筋や多裂筋の収縮の活性化を促す必要も考えられる。

 

ポジショニング

コアスタビライゼーションの基本を、ここでは仰向けで膝を90度に曲げて立てた姿勢で紹介しているが、指導者によっては四つん這いの姿勢から始める場合もある。

四つん這いで行う利点はPhoto3のように腹部がリラックスした状態で始めることができ、より腹横筋の収縮が感じられやすく、指導者から腹横筋の収縮が目で確認し易い事だ。しかし、この場合は重力に反して腹部を背骨の方にひきつけなければならない。また、ペルビックティルトを起こさないように、そして背を反らし過ぎないようにと運動中を通して姿勢を保つ事が難しい。加えて、高齢者や膝関節に障害がある人には難しいポジショニングとなる。

 仰向けの姿勢で行うマイナス面は、この姿勢で腹筋運動をよく行っている人はペルビックテイルトを起こし易く腹直筋の関与を除く事が出来ない。しかし、仰向けのポジショニングは重力に逆らわずに腹部を背骨にひきつける事ができ、一度ニュートラルポジションをマスターすれば、姿勢を運動中を通して一定に保つ事ができ易い。

以上の理由により、最初に仰向けで膝を立てた姿勢からスタートし、十分にその姿勢を習得し、横向き、うつ伏せ、四つん這い、立位へと赤ちゃんの成長過程のようにポジションを移行してゆく。どの姿勢においても基本はS字を意識したニュートラルポジションを維持して行う事が重要である。最終的には、より実践的にそれぞれのスポーツの姿勢に近い状態のトレーニングに移行してゆく。しかし、個人差もあるので臨機応変に、より腹横筋の収縮が行い易いポジションから始めても良いであろう。

 

3ステップ

腹横筋の収縮が出来ればこれで中間層のトレーニングは終わりと思われるかも知れないが、ここまでは3段階あるうちの始めの一段階に過ぎない。第一段階では腹横筋の収縮が感じられ易くするために、必ず鼻から息を吸い、口から息を吐くという動作にあわせて腹横筋の収縮を行う。 “パブロフの犬”という話をご存知だろうか。パブロフという旧ソ連の生理学者が犬を使った実験で、えさを与える時に必ずベルを鳴らすようにした。それを何度か繰り返すうちにその犬はベルを鳴らすだけで唾液を分泌するようになるという条件反射を説明したものである。これと同じように使い方を忘れている腹横筋収縮に対して、強制的に口から息を吐くという条件を付け、腹横筋の活性化を促すのである。

うまく腹横筋の収縮法がつかめたら、次のステップは腹横筋の収縮を維持したまま、呼吸法に関係なく色々な動作や運動を行う第2段階へと移行してゆく。この時から徐々にPosition Senseを活性化させる深層部のエキソサイズを導入する。また、この時期には他層との調和も考慮したエキソサイズを加える事により、ダイナミックでそれそれのスポーツに実践的なトレーニングとなっていく。

そして最終段階ではこれまで意識して行ってきた腹横筋の収縮を、ここからは他の層と調和させるとともに、必要に応じて無意識のうちに収縮させることである。例えばゴルフのように、いったん腹横筋の収縮を意識してからスイングすることも可能であるので、背骨はスイング中でも安定が保たれるが、ほとんどのスポーツではそのようにはいかない。日常生活の中でも意識して腹横筋をコントロールできない事も多い。例えば母親が泣いている子供を抱き上げる時、腹横筋を意識してから子供を抱き上げれば、腰痛を起こす心配は少なくなる。しかし、誰もがいつでも気を配っているわけではない。そういう時にでも無意識のうちに腹横筋は収縮可能なはずである。この段階が最終と考えられている。



次号では実践コアスタビライゼーションの後編と運動プログラムの作り方を紹介する。





【目次】
1.コアエクササイズとの出会い
2.解剖学的な解説
3.実践コアスタビライゼーション(前編)
4.実践コアスタビライゼーション(後編)
5.コアスタビライゼーションと腰痛
6.コアスタビライゼーションとピラティス
7.腰痛緩和のためのエクササイズ
8.ソフトボールのためのコアスタビライゼーション
9.バスケットボールのためのコアスタビライゼーション
10.南カリフォルニアのトレーニング

■お断り:これは「トレーニングジャーナル」2003年10月号から10回にわたって連載された論文を著者(稲葉晃子氏)および出版社(ブックハウス・エイチディ)の許諾を得て転載するものです。




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