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4.実践コアスタビライゼーション(後編)

【目次】
1.コアエクササイズとの出会い
2.解剖学的な解説
3.実践コアスタビライゼーション(前編)
4.実践コアスタビライゼーション(後編)
5.コアスタビライゼーションと腰痛
6.コアスタビライゼーションとピラティス
7.腰痛緩和のためのエクササイズ
8.ソフトボールのためのコアスタビライゼーション
9.バスケットボールのためのコアスタビライゼーション
10.南カリフォルニアのトレーニング

■お断り:これは「トレーニングジャーナル」2003年10月号から10回にわたって連載された論文を著者(稲葉晃子氏)および出版社(ブックハウス・エイチディ)の許諾を得て転載するものです。



空中での姿勢

9月27日、ワールドカップ予選で私が心待ちにしていた日本女子サッカーチームがカナダに負けてしまい、私の住むロサンゼルスで開催の決勝トーナメントに出場できなくなった。私のCollegeの女子サッカーの監督も日本チームを応援していたので、私同様にとても残念がっていた。彼女が日本びいきな理由は、彼女のチームの選手たちが非常に小さく、同じように体の大きくない日本選手の細かい技術をお手本と考えていたからだ。カナダチームと日本チームの平均身長の差は10cm程度あり、私はこれが敗戦の理由と考えていた。しかし、彼女の解説では空中戦の上、ヘディングで相手にゴールを決められたわけではなかったと言う。世界トップレベルのアメリカ女子サッカーチームでもヘディングによるゴールはあまりない。ヘディングで正確にボールをコントロールできる選手が少ないらしい。彼女は身長が10cm低いなら10cm高く跳んで正確にヘディングできれば、空中戦でも小さい選手が負けることはないと言う。

 バレーボールのスパイク、バスケッボールのジャンプシュートと同様に、サッカーの空中でのヘディングはオープンキネティックチェーンと呼ばれる。地面(固定された物体)に体のどの部分も接していない状態を指す。反対に、地面(固定された物体)に体のどこかが接している状態をクローズドキネティックチェーンと言う。

仮にジャンプ力が飛躍的に伸びて大きい選手に負けない高さになったとしても、オープンキネティックの状態では力が上手く発揮できない。ジャンプしてヘディングという事は、空中での支えがなく体は不安定な状態になる。高さももちろん重要だが、支えのない状態でボールコントロールする技術はもっと重要な事ではないだろうか。支えのない状態でいかに安定した姿勢を作るかという事が、体格差を変えることが出来ない日本のスポーツ選手にとって鍵となってくる。



第2段階(腹横筋の収縮を維持する)

前号でコアスタビライゼーションは、先ず意識しての腹横筋の収縮から始まり、徐々に深層部のエキソサイズを組み入れながら、最終的に外層部の筋肉のエキソサイズとアレンジして無意識に腹横筋の収縮を行う3ステップになっていること紹介した。

第2段階では息を吐く時に収縮するという条件付きの最初の段階から、呼吸に関係なく腹横筋をコントロールすることを目的とする。腹横筋をいつでもどこでも収縮したまま、少しずつ上下肢の運動とアレンジさせるのである。また、エキソサイズボール等を利用して深層部のプロプリオセプションの活性化を促す運動を加える事により、より背骨を安定させる効果的なトレーニングになる。この段階はもっとも長くなるが、第一段階の単純で静的な運動に比べ、徐々にダイナミックな運動に移行されるので多種多様なエキソサイズが考えられる。第一段階と第二段階の初級編はその人のコンディショニングにもよるが、平行に行う場合もある。

私のクライアントの中で、重度の腰椎間板ヘルニアに苦しんでいた方がいたが、自宅で腹横筋収縮の練習する時に掃除機をかけながら腹横筋の収縮を行うという人がいた。これには天晴れである。この熱心なクライアントは60mの距離がヘルニアによる痛みで歩く事ができず手術まで予定されていたが、手術することもなく、現在は痛みのないの生活を送られている。一度腹横筋の収縮をマスターすれば、何時でも何処でもどのような形でも訓練できる事がコアスタビライゼーションの利点であり、より多く練習する事により、良い結果を早く得る事ができる。  

もう一つ興味深い話として、コアスタビライゼーションを応用し、腹横筋を収縮させながらジョギングを試された理学療法士の方がいる。いつもと同じ距離を走っても疲れが少ないそうだ。体の軸のブレが少なく、体軸を戻すために使うエネルギーが少なくてすむのではないかということであった。



第3段階(無意識の腹横筋収縮)

最終段階はこれより更に実践的になる。これまでは自分の意思で収縮をコントロールしてきたが、ここからは必要に応じて無意識でも腹横筋の収縮を行うというものである。例えば、ランニング中にグラウンドに穴があることに気付く。目からの伝達情報で危険を察知した時、意識しなくてもランニングに関係していた筋肉郡と拮抗する筋肉が主となり、速やかに体を穴の前で止める事が出来る。決してハムストリングを収縮させようなどという意識はない。それと同様に腹横筋も必要に応じて適時的確に収縮できるはずである。

サッカーの試合中に数人のディフェンスをドリブルで抜こうとする時、一回一回腹横筋を収縮して背骨を安定させている時間はない。サッカーだけでなく殆どのスポーツにおいて、この腹横筋の適時的確な収縮は要求される。背骨が不安定になるということは体軸のぶれに繋がり、素早い動きが必要とされるスポーツでは致命的になる。現在UCLAでこの体軸のぶれとコアタビライゼーションの関係を研究中のようなので、連載の後半で紹介したいと思う。

この最終段階に到達したかどうかを確認することは非常に難しい。しかし、より実践的なトレーニングを第二段階で行うことにより、必要に応じた腹横筋の収縮は可能だと考えられている。バスケットボール選手でコアスタビライゼーショントレーニングを行っている選手からは、以前に増してシュート率が高くなったという報告を受けている。実際にデータ収集をしているわけではないが、もしコアスタビライゼーションの効果を数字で表すとしたら、このシュート率を昨シーズンと比較する事もできる。バスケットボールの試合の流れで、決して常時意識して腹横筋収縮はしていない。他の要因も考えられるので一概には言えないが、もしコアスタビライゼーションの効果だとしたら、この選手は無意識のうちに腹横筋を充分に収縮することをマスターしているのかも知れない。



上下肢との連結運動

第2段階、第3段階と腹横筋の収縮が上手く出来るようになっても、もう一つ見逃してはいけない重要な事がある。体幹と上肢、下肢を連結させることである。コアスタビライゼーションは腹横筋の収縮に始まるが、あくまでも最終目的は体を一体化して使う事である。

USCの研究によると、体幹の筋力の弱い運動選手は、上肢は上肢、下肢は下肢という使い方をしているために腱鞘炎等の故障に多くなっているということだ。部分的ではなく全体を考え、全身を使ったトレーニングが必要なのである。

 連結を考えた運動は腹横筋の収縮が感じられた時から始める。先ずは上肢と体幹だけ、下肢と体幹だけ。そして上肢、下肢、体幹の連結を意識した運動を行う。この時、骨盤の動きが重要になる。骨盤を回転させず左右にゆすらずに腹横筋の収縮を行いながら運動を行う。腹横筋は腸骨核に付着しているので、腹横筋収縮中はゴムがぴんと張っており、骨盤は動かないはずである。もし骨盤が動くのであれば、腹横筋の収縮と上肢、又は下肢の筋肉の収縮が同時に行われていないことになる。



太極拳を見て

私はコアスタビライゼーションを去年の夏に知り、女子バスケットボールチームのシーズンオフのコンディショニングに導入もしたが、今年の春までアスリートのパフォーマンスの向上に有効かどうか半信半疑であった。腰痛緩和に関してのデータはかなりあり効果的であると思われたが、パフォーマンス向上に関してのデータが不足しているように思えた。ご存知のように、米国ではスポーツにとても力を入れており、理学療法士の博士課程まで持つ南カリフォルニア大学(USC)で早くから取り入れられている事も知っていたし、理論では効果的だと思われた。しかし、TypeI (遅筋)の割合の多い腹横筋を鍛えても、スピードとパワーが必要なスポーツでは的が外れているのではないかとも感じていた。適切なトレーニングを行うことにより、TypeI (遅筋)からTypeII (速筋)、またその逆も可能だと言われている。しかし、コアスタビライゼーションがTypeIからTypeIIへ変換する効果的なトレーニング法なのかということだ。そして何よりも基本の腹横筋エキソサイズを練習している時に、骨盤を回転、又は左右に動かさないようにするには、素早く上下肢を動かせないのである。この事が私の中で、運動中の素早い動きに繋がるのかという疑問を感じさせていた。

 この春、筑波大学の田中喜代治先生の研究室を訪問した時に、この疑問への答えのヒントが見つかったのである。田中先生の生徒さんのなかで、中国からの留学生で太極拳の先生がいた。彼はいとも簡単に腹横筋の収縮ができたのである。コアスタビライゼーションの理論は太極拳に非常に近いということを話してくれ、太極拳の模範演技を見せてくれた。私のイメージでは太極拳とは早朝、中国で高齢者の方々が広場に集まって、ゆっくりとした動作で行う体操のようなものだった。

しかし、彼の演技は全く想像に反していた。あれは少林寺やカンフーに見るようなすばやい動作なのだ。流派の違いもあるのかもしれないが、不思議に思い彼に尋ねてみたところ、太極拳は名前の通り格闘技である、そして何よりも練習により全身の筋肉の調和を生みだし、あのように素早い動きが出来るのだと。もし、太極拳とコアスタビライゼーションの理論が近いのであれば、腹横筋の収縮から3層の調和により、必ずアスリートに必要なスピードとパワーが取得できるはずである。



コアスタビライゼーションの運動処方



1.何回何セットすれば良いのか

コアスタビライゼーションに関しては、何よりも質を重んじる。特に静的な動きの中では正しい姿勢をマスターする事が最も重要であり、回数を多く行うことにより起こる姿勢の崩れは良い結果を生まない。静的なエキソサイズでは、どれだけ長く正しい姿勢ができるようになるかがポイントである。フロントブリッジは回数を増やすよりも正しい姿勢を維持する時間を長くする方が効果がある。動的なエキソサイズでは、腕立て伏せの正しい姿勢を考えてもらうと、頭から踵まで一直線の姿勢を崩さずにできる回数を増やしてゆく。


2.いつ次のステップに進めば良いのか

便宜上、3ステップがあると紹介しているが、これはエキソサイズのレベルによって分類しているのではなく、腹横筋の収縮状態によって分類している。このエキソサイズができたから次のステップに進めるというレベル分けがあるわけではない。時には、1段階の参考エキソサイズとあるものを腹横筋の収縮を維持したまま行うこともある。

個々の能力、コンディション、体格によっても導入の仕方は異なる。私のクライアントの一人にどうしてもペルビックティルトを起こしてしまい、ニュートラルポジションからの腹横筋の収縮ができない人がいた。その人には、いきなり第2、第3段階の運動から入ってもらった。腰痛等の既往症がない事を確認した上で実験的に毎日30分の運動を行ってもらったのだが、2週間後には腹横筋だけ孤立させた収縮が可能になったのである。


3.コアスタビライゼーションの教本

記載しているエキソサイズは、不足していると思われる中間層を強化する基本の腹横筋の収縮法だけを紹介している。 一度腹横筋の収縮法をマスターすれば、どのようにでもそれぞれのニーズに応じてアレンジ可能なので、基本となるエキソサイズからニーズに応じて作り出すことが出来る。スポーツの数だけ、個人の体格、コンディション、既往症の数だけ、千差万別のエキソサイズ法があるはずである。コアスタビライゼーションはトレーナーにとっても、また指導者にとっても創造力を発揮できる興味深いものである。 

コアスタビライゼーションの運動メニューは料理の本のようになってはいけない。基本の腹横筋収縮の習得後は、スポーツ各々においても違うだろうし、人それぞれによっても違うメニューになる。例えば、フラットバックのためにS字湾曲を維持できない人には、腹横筋の収縮を習得後はS字を意識した運動メニューを組み入れる事が大事になる。逆にS字カーブの強い人にはこれと同じメニューではかえって湾曲が強くなり、腰痛を起こしてしまう可能性がある。 

A選手に良い結果が得られてもB選手には適応しない可能性もある。Aスポーツに適していてもBスポーツには不都合があるかもしれない。その運動、各選手の特徴を良く把握する事により、良い運動プログラムができるのである。

最近ゴルファーのコンディショニングを行った。実は私はアメリカでの生活が長いがゴルフを一度も行った事がない。これでは運動メニューを作るにはあまりにも申し訳なく、即席ではあるがゴルフの基礎を習い、そのクライアントの写真を200枚くらい取り、ゴルフのコーチとともにメニューを考え出した。アスリートのコンディショニングのためのコアスタビライゼーションのメニューは、基本的にそのスポーツのコーチと意見を交換し合いながら、メニューを作るように心掛けている。



プログラミングのための7コンセプト

以下のコンセプトは多種多様な個別メニューを立てる上で目安となる。


1. 全てのコアスタビライゼーションの運動において、腹横筋の収縮を行う。

2. エキソサイズがその人のコアスタビライゼーションの能力を超えないようにする。

3. 量より質を重んじる。

4. 先ずは簡単なエキソサイズから始め、テクニックの向上とともに難易度のあるエキソサイズを行う。(図1)

5. 深層部のエキソサイズ(Position Sense)は体を支える点を少なくするか、接地面を少なくする事により難易度を高めてゆく。(図1)

6. 静的な運動は維持する時間を長くする事により難易度を高めてゆく。

動的な運動は回数を増やす事により難易度を高めてゆく。

7. 腰、背、首部の痛みを起こすような

運動、若しくは痛みを増すような運動は避ける。(常にリラックスし、姿勢に注意する)



次回はコアスタビライゼーションと腰痛。





【目次】
1.コアエクササイズとの出会い
2.解剖学的な解説
3.実践コアスタビライゼーション(前編)
4.実践コアスタビライゼーション(後編)
5.コアスタビライゼーションと腰痛
6.コアスタビライゼーションとピラティス
7.腰痛緩和のためのエクササイズ
8.ソフトボールのためのコアスタビライゼーション
9.バスケットボールのためのコアスタビライゼーション
10.南カリフォルニアのトレーニング

■お断り:これは「トレーニングジャーナル」2003年10月号から10回にわたって連載された論文を著者(稲葉晃子氏)および出版社(ブックハウス・エイチディ)の許諾を得て転載するものです。




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