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6.コアスタビライゼーションとピラティス

【目次】
1.コアエクササイズとの出会い
2.解剖学的な解説
3.実践コアスタビライゼーション(前編)
4.実践コアスタビライゼーション(後編)
5.コアスタビライゼーションと腰痛
6.コアスタビライゼーションとピラティス
7.腰痛緩和のためのエクササイズ
8.ソフトボールのためのコアスタビライゼーション
9.バスケットボールのためのコアスタビライゼーション
10.南カリフォルニアのトレーニング

■お断り:これは「トレーニングジャーナル」2003年10月号から10回にわたって連載された論文を著者(稲葉晃子氏)および出版社(ブックハウス・エイチディ)の許諾を得て転載するものです。



Pilates(ピラティス)とは?

 ピラティスは80年ほど前にドイツ人Joseph Pilates氏によって考案されたエキソサイズである。彼は子供の頃から様々な病気に悩まされたために、若年時から健康な体を作り出すことにとても興味を持ち、解剖学などから体の種々の動きを細かく勉強したと言われている。軍隊で看護士の補助や警察署でトレーナーとしての経験を積み、独自のエキソサイズを確立した。その後ニューヨークに渡り、最初のピラティススタジオを開いた。このスタジオがダンサーのスタジオと同居するビルであったために、彼の最初のクライアントはダンサーが多かった。この事から、今でもピラティスをダンサーのコンディショニングと考える人も多い。しかし、彼はダンサーだけではなく実際には様々な人々から支持を受けていた。

体に痛みを持つ一般の人から、テニスのChris Evert, フィギアスケートのKristi Yamaguchi, そしてNFLチームのCincinnati Bengalsなどのトップ選手たちにもピラティスは取り入れられている。その理由の一つとして、彼はそれぞれのニーズに応じて様々なエキソサイズ装置、器具を開発し、多種多様なエキソサイズを考案したことが揚げられる。これは、コアスタビライゼーションが一人一人のニーズに応じてエキソサイズを作り上げてゆく事と同じである。

Pilates氏は現代では当然とされる術後すぐのリハビリを提唱した事でも有名である。障害、病気後はベッドで安静にするとされていた当時の常識からは、とても進んでいた。彼は病院のベッドにバネや滑車を取り付け、ベッドの上でリハビリを出来るように考案したReformerやTrapeze Table(Photo3)は今でも多くのピラティススタジオで使用されている。


photo3



Pilatesの理論

 ピラティスは現在、ヨーロッパ、北米を中心に世界中に広がっている。その中で創始者Pilates氏自身の教えを忠実に再現しているところはどこかと言われると難しい。特に最近注目をされるようになったピラティスはインストラクターによって、また、グループによってかなり解釈が違う。6ないし8の基本理論があるのだが、解釈になるとそれぞれ多少異なる。大雑把にピラティスを解説すると“あらゆる人々のあらゆるニーズに対応する身体のトータル的なエキソサイズ”であり、その中心は独特の動きによる身体のコントロールとコンディショニング(柔軟性とバランスを向上しながら行う筋肉の強化)である。更にピラティスは単に体だけの健康ではなく、心の健康まで追求している。これは、東洋のヨガに代表される考えに近い。そのためにピラティスは西洋のヨガと考える人も多い。しかし、ピラティスはヨガよりも解剖学からくる一つ一つの筋肉、関節の細かい動きに対するエキソサイズまで及んでいる事が大きな違いではないだろうか。彼の時代に現代のコアスタビライゼーションの研究に使用される超音波エコーや筋電図等による研究データはなかったが、彼のエキソサイズは80年以上経った現在のコアスタビライゼーションに通じるコア(Powerhouseと彼は呼ぶ)の重要性を説き、またコアの深層部の筋肉の強化を推奨している。

ピラティスでは800の筋肉の細かい動きに対して正しい動きを思い出させることにより、アライメントを整える事に重点を置いている。“背筋を伸ばす”ことがピラティスのレッスン中よく言われる。背筋を曲げた姿勢(図1)を取ると、まず骨盤が後傾し背骨のS字湾曲が崩れる。肩は丸くなり、肺は肋骨に圧迫される。この姿勢を正すため、頭上と足先に紐がつき両方から同時に引っ張られるイメージで背筋を伸ばすのである。これにより正しく呼吸ができ、全身に酸素が行き渡り、栄養、老廃物の交換もスムーズになされると考えられている。レッスンは呼吸法とこの自然な姿勢を作るところから始まる。



ピラティスのエキソサイズは500とも800とも言われている。その中でコアスタビライゼーションと理論的に合意する点は、身体を部分的ではなく、体幹を中心に全体として捉えていることである。全体として捉えながら、一つ一つの筋肉の動き、関節の働きまで実に細かく鍛えようとしている点が特筆される。近年のトレーニング、エキソサイズはパーツ毎に考えている場合が多い。例えば腰痛で整形外科に行くと、殆どの場合腰部のレントゲンを取るかMRIで検査をする。そして腰痛体操と称される運動処方が与えられる所もある。腰部の痛んでいる部分の程度、症状はMRIにより明らかになるが、頚椎から仙骨まで全体としてレントゲンを撮る病院はあまりない。トレーナーとしては椎間板ヘルニアの状態を正確に掴みたいので、もちろんMRIの検査結果も欲しいが、背骨全体のアライメントもレントゲン写真で確認しておきたい。更に言えば、足部のアライメントも確認したい。それをしてから運動処方を行う事が望ましい。そうすることで慢性的な損傷の場合、その人の動作のフォームを改める事により緩和できるだろうし、急性的な損傷に対しては予防に繋がる。



ピラティスとストレッチ法

腰痛経験のない人は非常に少ない。加えて、腰痛を繰り返し何度も経験した人が腰痛経験者の殆どである事も良く知られている。これは、腰痛は老若男女を問わず、ほぼ誰にでも経験があると考えて良いと思う。しかしながら、腰痛のメカニズム(2月号参照)は殆ど理解されていないのが現状である。メカニズムがきちんと抑えられていないのであるから、もちろんその緩和法、対処法も曖昧になり腰痛を繰り返す場合が多い。これほど多い腰痛で腹横筋、多裂筋収縮の問題以外で言える腰痛の要因は、姿勢の悪さから起こるハムストリングと臀部の筋肉の柔軟性の欠如が考えられる。例えば、日本人に多いフラットバックを考えた時に、骨盤の後傾が起こりやすく、どうしてもハムストリングが常に短い位置で緊張させられている。そのために多くの人の殆どはハムストリングの柔軟性が乏しい。また、運動選手でハムストリングのストレッチを十分に行っていると答える人が多いが、多くの場合は正しく行われていないか、若しくは外側のハムストリングがストレッチ(ハンストリングのストレッチを参照)されていない場合が多い。このような問題をピラティス法を用いてストレッチすることにより、腰痛の改善に繋がる場合が多い。

よく腰痛の人に行ってみせるモデルなのだが、その人のこぶしとこぶしを合わせてもらいPhoto4のようにぐるりとセラバンドで巻き、ぐっと締めた状態でこぶしとこぶしの間を背骨の関節と見立て曲げ伸ばししてもらう。セラバンドがきつく締まればしまるほど、こぶし同士を動かす事は難しい。これは、腰痛の人の背骨の関節一つ一つを示しているのである。もし、柔軟な筋肉(セラバンド)が背骨と背骨を(こぶしとこぶし)を包んでいれば、一つ一つの関節間はスムーズに曲げ伸ばしが可能になる。腰痛の人はセラバンドがパンパンに張った状態、若しくは張りすぎて細かい筋肉の損傷が起こった状態と考えてよいだろう。この一つ一つの背骨の関節の柔軟性を高める事が腰痛緩和に大きく役立つ。背骨の関節を個々に考えたストレッチ法がピラティスにはある。



Cat Back

Cat Backは個々の背骨の柔軟性を見極めるという点では非常にわかり易いエキソサイズと言える。Photo5のようにエキソサイズを始めた頃はあまりアーチがなく、徐々に美しいアーチが出来るようになってくると、他のエキソサイズと併せて行う事によって、その腰痛の症状も緩和されてゆく。Photo6はピラティスのインストラクターのCat Backだが、胸椎のアーチ、腰椎のアーチ、そして全体のアーチと区別できる事を見てもらいたい。多くの場合、エキソサイズを続けることにより胸椎の柔軟性が高められ、アーチが大きくなっていくが、腰痛の人は腰椎にアーチが見られない場合が多い。腰椎は胸椎に比べ可動域が小さいので、当然のことながらCat Back の姿勢を作るとアーチは小さくなる。しかしながら、腰椎の可動域は屈曲、伸展ともに決してゼロではなく、個々の腰椎間で可動域が多少なりともある。この事はS字湾曲で足からの衝撃を吸収することを、関節間に少しの“あそび”があることにより、衝撃吸収するための補助をする役目がある。





Roll Up

Photo7はRoll Upと呼ばれるものだが、ピラティスではウオームアップとして利用されている場合が多い。Roll Up の目的は体をコントロールしながら、全身の柔軟性を高めるものである。一見、脚を伸展した形の一昔前に行われた腹筋運動のようにも見える。しかし、瞬間的に腹直筋を収縮させて起き上がるのではなく、起き上がる時は頚椎から一つ一つの背骨を床から離してゆくイメージで勢いをつけずに呼吸法に従って行う。起き上がった後は頭が上から引っ張られるようなイメージで前屈する。十分に前屈した後は再び呼吸法に従い、今度は背骨を仙骨から床につけてゆくイメージでゆっくりと元の位置まで戻す。これを繰り返す事により、Photo4でパンパンに締まっているセラバンドを揺るめる事ができ、背骨間を広げてゆく事が可能になる。コアの筋肉を収縮させながら行うRoll Upは、呼吸法に従い全身に酸素を送り込むことで、より一層全身の関節間の筋肉の柔軟性を増し、腰痛解消に効果的なエキソサイズになりうる。





Back Bridge

 Photo8は、臀部、ハムストリング、コアのトレーニングとして優れているものだが、これにRoll Upと同じ要領を取り入れる。最初に仰向けで膝を立てた状態でニュートラルポジションを作る(12月号参照)。まず、呼吸法に従い尾骨を床から離し、徐々に仙骨、腰椎、胸椎、頚椎と床から離し、膝から肩までの位置が一直線になるところまで臀部を上げる。再び呼吸法に従い、頚椎から順に仙骨まで一つ一つを床につけるイメージでゆっくり戻し、最後に尾骨をつけてニュートラルポジションに戻る。

 Back Bridgeでは座位のような姿勢を長時間続ける事によって、股関節屈曲筋群が通常より短い状態で収縮され、緊張させ続けられている(Muscle Shortening)。膝から肩までの線が一直線にならず、股間でくの字に曲がっている事もある。この場合、大腿部と股間節屈曲群のストレッチを十分に行う必要がある。





ピラティスとの出会い

2001年にUSCのコアスタビライゼーションのセミナーに参加した時初めてPilatesの名前を目にした。コアスタビライゼーションの理論に近いという説明だったと思う。しかし、その時はピラティスを単なる特殊な装置を使ったコアスタビライゼーションの一種だと解釈していた。NFLのOakland Raidersがウエイトトレーニング時にReformerを使用しているというので、それはアスリートに効果的なトレーニングかもしれないという思いから実際にピラティスのレッスンを受ける事にした。しかし実際にレッスンを受けてみると、体の痛みに非常に有効だと気付いた。

私自身も実は選手時代から腰痛に悩まされ、数多くの治療を受けていた。現在、腰椎すべり症を起こし、このままだといつの日か手術をする日が来るかもしれないと思っていた。2年前の春先は脚の痺れがひどく、痛みのために夜眠れない事もしばしばあった。そういう状態のときにピラティスのレッスンを始めた。4週目のレッスンを終えた頃だったと思う。朝まで一度も腰の痛みで目が覚めなかったことに気付いた。それから、交通事故で傷めた頚椎損傷からくる重度の肩こりも治まっていったのである。この事を私のピラティスのインストラクターに話したところ、彼女も長年のダンス生活によって傷めた腰を何とかしたいという気持ちでピラティスを始めたのだと教えてくれた。ピラティスは単なる痩身のためのフィットネスではなく、体の痛みを緩和させることが可能なエキソサイズなのである。私は科学的に研究されているコアスタビライゼーションを実践的に導入する手段としてピラティスを用いた。コアスタビライゼーションをより理解し易くするために双方をアレンジしたのである。日本で紹介されているピラティスが、もしブームに終わらずに正しく広がれば、多くの人々の腰痛を緩和させる事が出来るだろう。



次号は腰痛に対する運動処方法とケーススタディを紹介する。



参考文献

Gallagher, S. and Kryzanowska, R. 2000. The Pilates Method of Body Conditioning. Philadelphia: Bain Bridge Books.

Taylor, A., Taylor, R., and Gentry, L. 2002.Everything Pilates Book, Avon, Massachusetts: Adams Media Corporation.





【目次】
1.コアエクササイズとの出会い
2.解剖学的な解説
3.実践コアスタビライゼーション(前編)
4.実践コアスタビライゼーション(後編)
5.コアスタビライゼーションと腰痛
6.コアスタビライゼーションとピラティス
7.腰痛緩和のためのエクササイズ
8.ソフトボールのためのコアスタビライゼーション
9.バスケットボールのためのコアスタビライゼーション
10.南カリフォルニアのトレーニング

■お断り:これは「トレーニングジャーナル」2003年10月号から10回にわたって連載された論文を著者(稲葉晃子氏)および出版社(ブックハウス・エイチディ)の許諾を得て転載するものです。




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