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8.ソフトボールのためのコアスタビライゼーション

【目次】
1.コアエクササイズとの出会い
2.解剖学的な解説
3.実践コアスタビライゼーション(前編)
4.実践コアスタビライゼーション(後編)
5.コアスタビライゼーションと腰痛
6.コアスタビライゼーションとピラティス
7.腰痛緩和のためのエクササイズ
8.ソフトボールのためのコアスタビライゼーション
9.バスケットボールのためのコアスタビライゼーション
10.南カリフォルニアのトレーニング

■お断り:これは「トレーニングジャーナル」2003年10月号から10回にわたって連載された論文を著者(稲葉晃子氏)および出版社(ブックハウス・エイチディ)の許諾を得て転載するものです。



一本足打法

 ダイエーホークスの王監督にいつかトレーニングに関してお話をお伺いしたいと思っている。学生運動選手のコアスタビライゼーションの講習会で王監督の現役時代の話をすると知らない選手が多いが、私の世代にとって王監督はヒーローであった。近年、コアスタビライゼーションを研究するようになり、一層私の中で王監督のヒーローとしての地位は揺ぎ無いものへと変わってきた。王監督の一本足打法こそ私が追及して止まないコアスタビライゼーションの理論そのものであり、王監督こそが大きくない体を十二分に使い、世界一になった選手なのである。連載の途中で紹介したと思うが、一本足打法とはピッチャーが投げてくるボールを片足立ちで構えてボールを捉える打法である。コアの筋肉がしっかり働き、背骨を安定させなければ片足で微動だにせず立つことは極めて困難である。また、背骨を安定させる事により、上肢下肢を一体化して使う事が可能となり、飛距離の必要なホームランへと繋がるのである。

王監督はこの打法を荒川氏とともに血のにじむような練習で作り上げていき、今でも世界に並ぶもののない868ホーマーの大記録を樹立したのだ。王監督は選球眼も素晴らしく優れた選手でもあったと言われているので、この大記録は一概にコアの安定によるものだとは言えないかもしれない。しかし、王監督のトレーニングは荒川氏の自宅でひたすら素振りの練習と合気道や居合いといった武道を取り入れたものだけであったことは驚きである。今のようなウエイトトレーニングなどは60,70年代にはまだ浸透していなかったのであろう。

しかし、王監督の現役時代のホームランを打つ時のスイングの平均スピードは日本プロ野球史上歴代3位なのだそうだ。1位は松井秀喜選手、2位はイチロー選手である。(湯浅影元中京大学運動力学教授による)スイングの速さ、体格(松井選手:186cm、95kg、王監督:177cm、75kg)から考えると松井秀喜選手の方がホームランを大量生産できるのかもしれない。また、松井選手は日本人選手の中でも筋肉量が多い事で知られている。それに比べて王監督は握力が40kgにも満たないほど筋力的に貧しかったとよく言われている。しかしながら、松井選手が王監督の記録に並ぶまでには、今からだと一年に52本のペースで40歳までプレーするか、45歳まで毎年33本のペースで現役でプレーしなければならない。

知る人は少ないがメージャーリーグにも一本足打法最初に用いて本塁打王6回、511本のホームランを記録している大打者がいた。王監督よりも少し前の時代に現サンフランシスコジャイアンツで活躍したMel Ott選手である。一本足打法のスイングはボールの少し下をダウンスイングで叩き、強烈なドライブ回転をボールにかけて遠くに飛ばすものだ。これとは反対に、この時代に活躍した『最後の4番打者』と言われたTed Williamsはボールの下をアッパースイングで叩き、力でボールを飛ばしたのだ。両者の打法の違いは体のサイズの違いであるとよく言われている。メルオットーは身長180cm、体重77kgの細身で、それに対しTed Williamsは身長192cm、体重93kgもある大柄な選手であった。一本足打法は体の小さい、体格的に優れていない選手にうってつけの打法であったと言えるのではないだろうか。

ここに身体的に大きくない日本人が世界に勝つための秘策が隠されているような気がしてならない。近年のトレーニング法の殆どが身体的に大きな欧米から来たものである。しかし、それをそのまま、体の小さな日本人に応用するのは得策ではない。欧米のトレーニング法はあくまでも体の大きな欧米人のためのものである。日本人には日本人にあった独自のトレーニングを行い、小さくてもコアを中心に上肢下肢を一体化させて身体を十二分に使えるような全身を考えたトレーニングが必要なのである。



バッティング

 野球の動作解析で著名な中京大学の湯浅教授は、バッティングとは2つの動作のコンビネーションからなるものと言う。一つは回転運動、もう一つは並進運動であり、両方を組み合わせてバッターはスイングを行っている。回転運動に依存したスイングを取り入れているのはシカゴカブスのソーサ選手であり、メジャーリーグの選手に多い特徴である。並進運動におけるような自体重を前足に大きく移動させはしないのである。回転運動を主としてスイングを行うためには自体重をバットに乗せないので、相当な上半身の筋力が必要なことは言うまでもない。

これに対し松井秀喜選手は並進運動に依存したスイングを行っている。重心を大きく移動させることにより、自体重をバットのスイングに乗せる事が出来る。しかし、このスイングは重心の移動による爆発的な力を強靭な下半身の筋力で制動しなければならない。前述の王監督は回転運動、並進運動のどちらも大きかった。どちらも大きくする事でバットのスイングを速くする事が可能であったのだ。しかしながら、二つの運動を組み合わせるとタイミングを取る事が難しくなるという欠点が生じるのである。この難しいタイミングを王監督は一本足にすることにより克服し、世界一のホームラン王になった。



回転・並進運動での体軸のぶれ

 バッティングとコアスタビライゼーションとの関連性を考える時に、先ず回転運動での体軸が思い浮かぶ。回転運動のスピンは駒の軸のように重心がぶれることなく回る事が出来れば、腕をスムーズに振りぬくことが可能になる。しかし、この時に頭がぶれれば駒は中心が作れずに上手く回る事が出来ない。この頭がぶれるということは、コアスタビライゼーションでは頭のてっぺんから足先まで一体化してないと考える。回転運動の軸を作るということは、単にバッティングだけはでなくゴルフのスイングにも通用する。Photo1を見てもらえば、片手でバッティングスイングをトレーニングしている姿はテニスのフォアーハンドにも似ている事がわかる。スイングを必要とするスポーツは、軸を作るという事がそれから生まれる爆発的な遠心力を利用し玉を打ち返すのだ。それらのスポーツにはスイングの中心に体軸を作るということは重要な課題となるので、コアスタビライゼーションは不可欠なトレーニングになる。

 次にバッティングにおける並進運動に関しても体軸は重要な鍵になる。重心の移動をスムーズに行うためには、体軸をぶれさせないことが必要である。しかも、ワンステップという短い距離の中で高速で行われるのである。バッティングでは右利きであるならば、最初に右足に重心があり、スイングしながら左足に体重を移動させる。背骨を25個のブロックと考えた時に、腹横筋を始めとする体幹の筋肉の適時的確な収縮がなければ体は大きくぐらつくのである。たとえ収縮させても腹圧を十分に高め背骨を安定させる事が出来なければ、下半身の筋力だけでは体を制動する事は難しい。

対軸を重心の移動によって大きくぶれさせない事は多くのスポーツに必要とされる敏捷性に関係する。例えば、バスケットボールでのディフェンスで相手の動きに合わせてカッティングモーションを行う時に、体軸の微妙なぶれは相手の動きから遅れる原因となる。コアの筋肉の収縮が上手く出来なければ当然背骨は安定せず、重心の移動が遅れるからだ。  

UCLA(Kerri Barrett, Associate Head Strength Coach)ではコアと敏捷性の関係の中で特にスポーツ外傷に関して研究している。例えばサッカーのプレー中に起こる前十字靱帯などの損傷はコアの筋肉群の弱さから起こる可能性を指摘している。腹横筋を始めとするコアの筋肉群はあらゆる動作の事前に収縮すると言われているが、コアの筋肉群に対して下半身の筋力が強すぎた場合、下半身の円滑な動きをコントロールするだけの充分な力がコアにないのである。その結果、体にぐらつきが生じ、単に運動中の衝突だけでなく膝関節等への損傷に繋がる可能性があるとしている。この研究はまだ被験者数が少ないため、今後多くのデータ収集が必要である。しかしながら、コアの弱さは運動中めまぐるしく変わる重心の位置を安定させる事が出来なくなるので、背骨は常に不安定な状態にある。即ち、体は常にぐらつき、膝関節の損傷以外にも多くの損傷を引き起こす可能性がある。



バッティングのためのトレーニング

 バッティングは回転運動と並進運動の組み合わせで行われ、110~150km/時の速さのボールを7~8cmほどの巾のバットで打ち返さなければならない。ボールとバットと共に動いているので、例えボールのスピードが100km/時でもミートする事は難しい。そこでバッティングにおいては、コアスタビライゼーションを用いることで目の位置を安定させ、ミートする確率を高める事を第一に考えている。もちろん回転運動でも並進運動でも体軸をぶれさせないことは重要である。しかし、スイングの回転運動や並進運動が上手くできても目の位置が微妙に変われば、それだけでミートの確立は低くなってしまう。

 前述の湯浅教授によると、車の運転中きれいに舗装された高速道路では看板の文字を読む事は簡単だが、でこぼこ道では看板の文字をはっきり読み取る事は難しいことに例え、目の位置が固定していれば動いているものも見ることが出来るが、目の位置が揺れていると動いているものは見にくいのが人間の目の特徴だとしている。そのために私は王監督の例をとり、どのような状況でも目の位置が変わらないようなトレーニングを提供している。不安定な状態のままのスイングに重点を置いているのである(目の位置を安定させるトレーニングを参照)。

 次に回転運動を考慮したトレーニングをひとつ紹介する。Photo2は座位でメディスンボールを利用して行う。右利きでは最初に右脚に体重があり、ボールの移動に従い体重を左脚に移す。この時にボールの重さによって体にぐらつきがでないようにすることがポイントである。またボールに重みがあるので、腕だけで体からボールを離してボールを移動させると腰痛の原因になるので充分に注意してもらいたい。


photo2

並進運動に関係するトレーニングではセラバンドを使用する(Photo3)。できれば線上でバッターボックスに立つ時のような構えを取ってもらいたい。左足を踏み出す際にセラバンドが負荷となり、不安定な状況を作り出す。この時に肩の位置が前後左右にならないように注意すること。並進運動のトレーニングは他のスポーツでも大きく関係するので次号で詳しく紹介する。


photo3

上記のどのトレーニングにおいても呼吸法を使った基本の腹横筋収縮のトレーニングから始まり、上肢、下肢との連結運動を行う。次に腹横筋の収縮がいつ、いかなる状態でも継続できるようになってから実践的なトレーニングに移る事が望ましい。トレーニング初期は腹横筋を一旦収縮させた状態から行うと良い。そして、最終的には必要に応じて腹横筋が収縮できるように実践的にできるだけ近い動きを反復練習する事が大事である。

ここで、私のCollegeのソフトボール部監督、Kelly Ford氏(2003年カリフォルニア州で優勝)にバッティングスキル向上のためのトレーニング法を紹介して頂いた。並進運動を考えての事だと思うが、オフシーズン期にはバッターボックスから2,3歩外に出たところからステップを踏み、ティーバッティングでボールをミートすることを行う。これにより、重心の移動を体に覚えこませ、前足でしっかりと踏ん張る事を覚えてゆく。当然この時も体幹にぶれがあってはならない。

もう一つに、初心者で回転運動と並進運動の二つのタイミングを学ぶためのボードを見せてくれた。Photo4の丸く黒い部分に後ろ足を置き、前足を予め設定したストッパーの位置まで滑らす。この時に後ろの丸い部分は回転するので、回転運動と並進運動の微妙なタイミングを身に付けることができる。

上記は特に腹横筋の収縮を意識した指導ではないが、コアスタビライゼーションはどのようにでもアレンジできるので、これらのトレーニングに腹横筋の収縮を取り入れるといっそう効果的である。




photo4



ソフトボール投手のトレーニング

日本ソフトボールリーグ・トヨタ自動車のエースとして活躍し、現在は私が勤めているCollegeのソフトボール部に所属しながら調整を行い、この6月から開幕する米国プロソフトボールリーグに挑戦する村上真由美投手から協力を頂くことができた。特に彼女が実際行っていたトレーニングを紹介したい。最後に村上選手自身が発案したソフトボールピッチャーのためのコアスタビライゼーショントレーニングを紹介する。



『所見』

L4-L5に分離症があるが、昨年の夏にトレーニングを始めた頃には腰痛の症状が無かった。全体的にバランスの取れた体つきをしていたが長年同じ動作を繰り返し行ってきたことにより、ピッチングによく使う筋肉とあまり使わない筋肉とで、使い方に大きな開きができていた。股関節の関節可動域が小さいことが見受けられ、大腿部の外側と内側の筋肉のバランスが悪く、特に内転筋の筋強化が必要であると感じられた。筋肉相対的な柔軟性はさほど悪くはないが、背部、特に腰部の筋肉の柔軟性が乏しかった。



『トレーニング開始』

呼吸法を用いた腹横筋収縮から始める。村上投手ほどの選手になると、理解力があり、初日で腹横筋収縮を少し維持できるところまで進む事ができ、思い切って基本の上肢・下肢の連結運動を省き、彼女の苦手とする股関節の関節可動域を広げる運動を指導する。また分離症には体後屈は良くない姿勢となるので、特に運動中の立位での正しい姿勢を維持するためにフロントランジをピッチャー用に変更させたものを導入する。4ポイントニーリングを行うと、右股関節がピッチングの際に見られるように大きく外旋する傾向にある。ピッチングで使う筋肉と使わない筋肉の差を縮めるために、体のアライメントから見直す必要があり、ピラティス法(3月号を参照)をトレーニングに取り入れることにする。ピラティス法には背骨個々の柔軟性を高める運動が多いので、特にバックブリッジ、ロールアップ、キャットバックを選んでトレーニングメニューに入れる。



『2ヶ月後のトレーニング』

4ポイントニーリングに見られた右足の大きな開きがなくなる。フロントランジにおいても体の大きなゆれが見受けられなくなったので、新たにメディスンボールを持ち、脚の開脚とともにボールを頭上から肩の線まで下ろすトレーニングに移行する。キャットバックを見るとかなり背部の筋肉の柔軟性が増して来ているように見受けられる。

 初回では省いた上肢、下肢の連結運動を行ってもらったところ、片脚を軸にして反対の脚の膝を横に倒すという基本のエキソサイズで、どうしても骨盤を回転させてしまうということが判明し、もう一度、上肢・下肢の連結運動のための3つの基本のエキソサイズ(1月号を参照)を重点的に行う。



『シーズン前のトレーニング』

4ポイントニーリングではボールを背中に置いたままでも行えるほど左右の筋肉のバランス、上肢・下肢のバランスが良くなる。3つの基本のエキソサイズでも骨盤の大きな回転が見受けられなくなったので、負荷をかけたアスリート用のトレーニングメニューに戻す。村上選手の要望により背中の肩甲骨辺りのトレーニングとしてリバースバタフライを新しく導入する。



シーズンに入って

最初の登板を見て思ったことに昨年よりもフォームに切れがあり、コントロールもとても安定しているように感じた。村上投手自身も変化球の切れが良いと話してくれた。これは背骨が安定することにより、ボールのリリースポイントが一定になったためだと考える。これは村上投手だけでなく、日本の実業団チームの投手達からも報告を受けている。しかしながら、まだ1球ごとに腹横筋を収縮させてから投げるようにしているという事なので、必要に応じた腹横筋収縮ができる第3段階にはまだ達していないようである。引き続き、実践的な反復練習を行うことにより、必要に応じた筋収縮が行われることを念願のプロリーグでプレーするまでに習得する事を望む。



次号のAgility(敏捷性)とコアスタビライゼーションにおいてバスケットボールのトレーニングを参考として紹介したい。





参考文献

Barrett, K. 2003. ACL and Female Athlete. Cougar Strength & Conditioning Clinic. College of the Canyon. Santa Clarita



湯浅影元(2003):ホームランはなぜ打てるのか 青春出版社、東京





【目次】
1.コアエクササイズとの出会い
2.解剖学的な解説
3.実践コアスタビライゼーション(前編)
4.実践コアスタビライゼーション(後編)
5.コアスタビライゼーションと腰痛
6.コアスタビライゼーションとピラティス
7.腰痛緩和のためのエクササイズ
8.ソフトボールのためのコアスタビライゼーション
9.バスケットボールのためのコアスタビライゼーション
10.南カリフォルニアのトレーニング

■お断り:これは「トレーニングジャーナル」2003年10月号から10回にわたって連載された論文を著者(稲葉晃子氏)および出版社(ブックハウス・エイチディ)の許諾を得て転載するものです。




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