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9.バスケットボールのためのコアスタビライゼーション

【目次】
1.コアエクササイズとの出会い
2.解剖学的な解説
3.実践コアスタビライゼーション(前編)
4.実践コアスタビライゼーション(後編)
5.コアスタビライゼーションと腰痛
6.コアスタビライゼーションとピラティス
7.腰痛緩和のためのエクササイズ
8.ソフトボールのためのコアスタビライゼーション
9.バスケットボールのためのコアスタビライゼーション
10.南カリフォルニアのトレーニング

■お断り:これは「トレーニングジャーナル」2003年10月号から10回にわたって連載された論文を著者(稲葉晃子氏)および出版社(ブックハウス・エイチディ)の許諾を得て転載するものです。



シュート成功率

私がコンデショニングを担当しているMt. San Antonio Collegeの女子バスケットボールチームが、先日念願のカリフォルニア州で優勝することができた。学校始まって以来の快挙である。日本で言えばインカレに優勝するぐらい価値があるものだ。バスケットボール人口も多く、米国でもトップレベルのカリフォルニア州での優勝である。同大学にはNCAAの一部リーグでプレーするような恵まれた運動能力のある選手はいないが、トレーニングを細かく行うことで栄冠を勝ち取ることができた。

このチームについては連載の初回でも紹介したが、現在も週に2回のウエイトトレーニングとコアトレーニング(コアスタビライゼーションをバスケットに応用したトレーニング)をシーズン中に取り入れている。このチームの監督Beeman氏(Photo1)はいち早くコアの重要さに気付き、トレーニングの一環としてコアスタビライゼーションを取り入れた。シーズン中に故障する選手が多かったことが導入するきっかけだったが、コアスタビライゼーションは故障を予防するという事だけでなく、思わぬ副産物もこのチームにもたらした。シュートの成功率である。同チームのここ数年の試合中の平均シュート成功率を比較してみたのがグラフ1である。コアスタビライゼーションを取り入れた2002年のシーズン以降、シュート成功率が上昇していることがわかる。コアスタビライゼーションの理論的にはこの結果は当然であると言えるが、監督はそこまで予想していなかったようである。


photo1

ウォームアップに取り入れる

前述の女子バスケットボール監督のBeeman氏は当初、コアのトレーニングの重要性はわかるが、カレッジでは充分な時間が取れないと言っていた。米国では学生スポーツは授業として認識され、練習時間や試合数がはっきりと決まっている。そのためカレッジレベルではウエイトトレーニングの時間もままならない状況である。かといってバスケットボールは衝突も多いので、時間が取れなくてもウエイトトレーニングを省くことは考えられない。そこで監督と相談し、コアトレーニングを何とかアレンジしてウォームアップに取れいれることを提案した。メニューはできるだけシンプルにし、バスケットボールとセラバンドを利用した。日本の指導者からもコアのトレーニングは重要だと理解できるのだが“時間がない”と言われる。また、エキソサイズボールやバランスディスクと言ったものは高価で用意できないとも言われる。しかし、限られた時間と用具の中でコアスタビライゼーションを取り入れることは可能である。



バスケットボールのトレーニング

前述のBeeman監督によれば、バスケットボールほど目まぐるしく重心の移動が多いスポーツはないと言う。特にディフェンス時における重心の移動は本人の予期できぬあらゆる方向へ素早く移動できなければならない。それゆえに、体幹の安定は選手にとって最低限の必須条件なのである。体幹を安定させるためには、多裂筋を始めとする体幹の中間層による背骨の安定化に他ならない。

Mt. San Antonio Collegeが練習前に行うウォームアップの一貫のコアスタビライゼーショントレーニングの一部を紹介する。体育館の使用時間が決まっているので、体育館前のホールで行う。予め基本の腹横筋の収縮を練習させた後に、初めは静的なフロントブリッジ、サイドブリッジといったものから導入する。個人差もかなりあるが、姿勢のぐらつきが減少した後に、バスケットボールを利用した動的なトレーニングに移行してゆく。まずは、重心の移動があまり起こらない小さな動きから徐々に大きな動きの中でも姿勢が崩れないように注意して難易度を上げてゆく。経済的な問題をクリアーすれば、将来的にはメデイスンボールをバスケットボールに変えて行うことも現在検討中である。セラバンドを利用したサイドステップ(Photo2)は体に前後左右のぶれが起こらないように、速やかに移動することを心掛ける。このトレーニングはバスケットボールだけでなく、この動きの必要なあらゆるスポーツに適応できる。


photo2

最後にピボットフットを意識し、8方向に踏み出すランジ(Photo3)を紹介する。体幹の前後左右の崩れがないように常に頭から尾骨までの線が床に平行になるように動かす。予め腹横筋の収縮をしてから行うようにしても、付加が重くなるにつれ、体後屈をさせて脚の踏み出しを行う選手が多いので気を付ける。付加はメディスンボールで行っても良いし、ダンベルが無ければペットボトル等の利用も可能である。


photo3



USC(南カリフォルニア大学)

 今連載中に何度も登場しているのだが、USCの正式名称はUniversity of Southern Californiaで、南カリフォルニア大学として日本で知られている。この大学は日本で知名度の高いUCLAをも凌ぐほどスポーツが盛んである。2003年度はフットボール、男子・女子水球、女子バレーボールチームがNCAAの一部リーグで優勝している。MLB、NFL、NBAを始めとするプロチームに現在活躍してる選手だけでも60名ほどいる。MLBのダイアモンドバックスの投手Randy Johnsonや、イチロー選手と共にシアトルマリナーズで活躍する2塁手のBret Boone選手もUSC出身である。 O.J. Simpsonの事件が世間を騒がせたことは記憶に新しい。彼はアメリカフットボール界では日本のプロ野球界の長島、王に匹敵するくらい有名な選手であったがために大きく騒がれた。このO.J. SimpsonもUSC出身である。

オリンピックにおいてUSCは、1904年のセントルイス大会から2000年のシドニー大会までに482人の選手を輩出している。その間の金メダルの数は104個、銀メダルは59個、銅メダルは54個で総メダル数としては217個と世界の国の中でも18番に位置している。アメリカ一国としては859個の金メダルを獲得しているので、実にアメリカ選手の金メダル獲得の8人に1人はUSCの出身選手になる。参考として日本の総メダル獲得数は296個で世界で12位に位置しているが、金メダル獲得数では97個とUSC1大学のそれに及んでいない。(http://usctrojans.ocsn.com/より)

 これだけスポーツが盛んであるのだが、USCは単にスポーツの強い大学だけではない。アカデミックにおいても非常に優秀で全米でもトップクラスの教育水準を誇っている。この大学は医学部を持ち、全米で最もレベルの高い理学療法教育の大学院修士課程を持つ。このバックグランドが他にないUSCのスポーツにおける強さではないかと思う。その中で特に注目され臨床研究されているのが、理学療法においてはコアスタビライゼーションを用いたリハビリテーションであり、スポーツにおいてはそれを利用したコンデショニング(コアトレーニングと呼ぶ)なのである。



USCのコンディショニングコーチ

先日、USCのChris Carlisle Head Strength Coachを訪問した。表2と表3はUSCフットボールチームのシーズン期とシーズンオフ期のトレーニングメニューである。これを見てもらうとまず気付く事なのだが、“Core”が必ずウォームアップのすぐ後で、全てのトレーニングの一番最初に位置していることである。それはCarlisle 氏が意図的に“コア”のトレーニングが何よりも重要だということを視覚的に選手に認識させるためだそうだ。

Carlisle氏はUSCのHead Strength Coachに就任して4年目になるが、数年来低迷していたUSCのフットボールチームを復活させ、今年優勝に導いたのはCarlisle氏の手腕と言っても過言ではない。Carlisle氏の理論ではコアが弱ければパフォーマンスの向上は難しい。バスケットボールでシュートの成功率を上げるためには上半身の強化を挙げるコーチが多いが、上半身から体幹そして下半身の一連の動作が体幹を中心になされるので、コアの強化が重要になる。フットボールのクゥオーターバック、野球のピッチャーおいても同様である。私が長年求めていたものはCarlisle氏の理論そのものなのである。連載の初回から何度も登場する“上肢と下肢を繋ぐ体幹を鍛える事により、上肢から下肢まで一本化して体を使う”ということなのである。

Carlisle氏に共感したもう一つの理由は体育学を専門に学ばれたわけではなく、歴史学を修士号まで修めたという珍しい略歴である。 USCのHead Strength Coachともなると、USCか、若しくはスポーツの有名大学出身を想像するのだが、Carlisle氏はそうではない。しかしそれでも、フットボール選手、コーチの経験から選手をどう強化したら良いのかを熟知しているのである。Carlisle氏は難しい知識を持ち合わせていなかったことが彼のStrength Coachとしてのキャリアには逆に良かったと言う。分かり易い“選手の言葉”で指導し、トレーニングメニューもシンプルなものにした。よりスポーツに実践的なトレーニングに集中する事が出来たのである。

20年以上も前になるのだが、私がユニチカのバレーボールチームでジャンプ力強化のためによく行ったトレーニングがあった。体育館や講堂によくある舞台(1m~1.5mの高さ)から飛び降り、素早く小さくジャンプするのである。その当時、プライオメトリックス (Plyometrics:4月号に紹介したストレッチに関与する腱紡錘の働きのStretch Reflexによる)などいう言葉もその効果も恐らく知らなかったであろうユニチカ小島総監督がトレーニングに取り入れていたものだ。小島総監督は元四天王寺高校で文系の教師だったので、トレーニングの知識を持ち合わせていなかった。しかし、コーチとしての経験からバレーボールのジャンプ力向上方法を知っていたのである。

現在アメリカでは、恐らく日本でも有名大学の先生方が考え出した難しい名称のトレーニングが多い。しかし、本当に個々のスポーツに実践的で効果的なトレーニングは、その競技に従事しているコーチが経験から知っていることが多い。また、その競技に従事しているコーチがそのスポーツ独自のトレーニングを開発すべきなのではないだろうか。



USCのコンディショニング

表1、2は実際にUSCのフットボールチームで行われている1週間のトレーニングメニューである。特筆されることは、必ず何らかの形でシーズン中でもシーズンオフでもコアのトレーニングが含まれており、それも短時間で行われている。メニューがとてもシンプルなことも目に付く。時間も最長で2時間あまりで、マシーンを使ったトレーニングが殆ど無いことだ。これには理由があると前述のCarlisle氏は言う。連載1月号で少し触れたオープンキネティックチェーンとクローズドキネティックチェーンに関係するので、もう一度この2つに関して説明する。地面(固定された物体)に体のどの部分も接していない状態をオープンキネティックチェーンと言う。反対に、地面(固定された物体)に体のどこかが接している状態をクローズドキネティックチェーンと言う。殆どのスポーツは地面にいずれかの足が付いたクローズドキネティックチェーンの状態が多い。しかし、マシーンで行うトレーニングは足が地面から中に浮いたオープンキネティックチェーン状態のものが多い。ここで、ハムストリング強化のためによく用いるマシーン(Photo6)を考えてみる。陸上の短距離走の選手にはハムストリングの強化は重要である。これを怠ればハムストリングの肉離れを起こす可能性が高い。しかし、ハムストリングの肉離れが起こるメカニズムを考えると地面から足が離れた状態で肉離れが起こることはまず考えられない。必ず地面を蹴る時に肉離れは起こるのである。それで、USCではハムストリングのトレーニングは必ず、クローズドキネティックチェーンの状態で行う(Photo7)。


photo6


photo7

シーズン期とシーズンオフ期のトレーニングメニューのどちらを見てもいたってシンプルで、コアのトレーニングが毎日ある以外は何も特別なメニューであるようには思えない。ウェイトトレーニング室自体もごく一般的なものが配置されているだけである。そのような環境でのCarlisle氏の工夫は出来るだけシンプルなもので選手を飽きさせないということだ。コアのトレーニングの種類だけでも50種類以上もあり、その中で選手にチャレンジさせるような形にもしている。

ここで2種類のコアのトレーニングを紹介する。一つ目は仰向けに休んだ状態で両脚を股関節から90度に屈曲した状態で、両手に負荷を持ち、肩を90度に伸展した状態で始める。そしてターゲットにタッチする(この場合はシャフトカバーを利用)。回数も大事だが、どれだけ上までタッチできるかも挑戦させる(Photo8)。パートナーの手をターゲットにすれば、あらゆる方向への体幹の強化を行うことも可能になる。次に大の字に仰向けにになる。そのまま両腕、両脚を地面から45度くらいまで挙げ、その姿勢から両手両足を同時に閉じ、空中で姿勢を維持したまま両手両足を開く。これを繰り返すのだが、両手両足を地面に近づけるほど負荷が増える(Photo9)。強化が進めば、重りを手足につけることも出来る。どちらのトレーニングも動的な運動になるので、まずフロントブリッジなどの静的な運動で体幹がしっかり安定した状態になった後に導入することが望ましい。

紹介しているものはフットボールのシーズン期とシーズンオフ期のトレーニングメニューとしてあるが、基本的にUSCではどのスポーツも殆ど同じメニューを行う。スポーツによって筋肥大が必要かどうかにより、回数、セット数を変化させる。また、同じスポーツにおいてもポジションにより微妙な違いがあるので、“Specific Conditioning”という時間内でそのポジションに適した実践的なトレーニングを行う。尚、USCで実際に行われているコアトレーニングの詳細は次号に掲載する。



米国でのトレーニング事情

全米を1ヶ月ごとに移動しトレーニング教室を行っている団体のワークショップに参加したところ、日本人の私にとって目新しいものは見つからなかった。というのは、殆どのものが、以前私が選手として行ったトレーニングばかりなのである。腕立て伏せのようなシンプルで自体重を利用したものがとても多い。しかし、一緒に同行したアメリカ人のトレーナーにはとても新鮮であったようでビデオテープまで購入するほど興奮していた。あまりにも見慣れたトレーニング法ばかりなので主催者にそれらのトレーニングの出所を尋ねてみたところ、興味深い回答をもらった。日本の武道家から学んだそうである。以前日本で行われていたトレーニングが新しいトレーニングとしてアメリカで紹介されているのである。

スクワットは体幹のトレーニングにも効果的であり、何よりも全身の間接を使うことができるのでお勧めしたいトレーニングの一つである。そのスクワットについて、そのワークショップで突拍子もない発言がウエイトリフティングの講師からあった。この講師はアメリカのウエイトリフティング女子ナショナルチームの監督も務めていたBob Takano氏である。何故フルスクワットではなくハーフスクワットをするか、ということに関してである。トレーナーとしては膝間接の損傷を防ぐためにフルスクワットは良くないと長年思ってきたが、それだけではないとその講師は言う。理由はアメリカ人が股関節を屈曲しない生活に変化したためで、単に“Lazy(怠慢)”になったからだと言うのである。服装を見ると腰下まで下げたジーンズ姿では膝を上げて股関節を屈曲できない。靴紐を緩くし足を引きずるような格好で歩くと、膝を上げて股関節を屈曲する必要は無い。そればかりではなく、運動選手が靴紐を結ぶ時もかがまないで腰を下ろして結ぶ。フルスクワットでは股関節と膝関節を同時に深く屈曲する動作が必要になるが、今のアメリカ人の日常生活には不必要となる。もし、アメリカ人の生活の変化が要因でアメリカでフルスクワットが敬遠されるようになったのなら、そのまま日本人が受け入れることは考えものである。運動の本質はできるだけ間接の全可動域において行うことが良いと考えるならば、ハーフスクワットは好ましくないとTakano氏は言う。

マスメデイァの発達により、トレーニングの情報は豊富にある。その豊富な情報の中で何が大事であるか見極める事が難しくなっていると感じている。ポイントは日本人選手には日本人の体質、特徴にあったトレーニングが必要ということである。その中の一つとして日本古来の武道にも通じる、体幹を中心としたコアスタビライゼーションこそが体格的に恵まれない日本人選手に必要なのである。



次号はUSCのコアトレーニングとFAQについて記載する。





【目次】
1.コアエクササイズとの出会い
2.解剖学的な解説
3.実践コアスタビライゼーション(前編)
4.実践コアスタビライゼーション(後編)
5.コアスタビライゼーションと腰痛
6.コアスタビライゼーションとピラティス
7.腰痛緩和のためのエクササイズ
8.ソフトボールのためのコアスタビライゼーション
9.バスケットボールのためのコアスタビライゼーション
10.南カリフォルニアのトレーニング

■お断り:これは「トレーニングジャーナル」2003年10月号から10回にわたって連載された論文を著者(稲葉晃子氏)および出版社(ブックハウス・エイチディ)の許諾を得て転載するものです。




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